マドリード一日目が終わって、ホテルで夕食を摂った。ありがたいことにホテル内にバルがある。
そのバルで食事していると、日本人が珍しいのか、数人のお婆ちゃん達が話しかけてきた。スペイン語で・・。で、私が英語で
「今日はベルナベウ・スタジアムに行った」
と言い、英語の分かるお婆ちゃんが通訳すると、驚きの声が上がる。どういうわけかここから歩いて行ったと勘違いしたらしい。いや、もちろん地下鉄を使ったんだよ・・。
こんな風に、私はスペイン滞在中もっぱら英語でコミュニケーションを取っていた。スペインは日本と比べれば英語を話せる人が多く、大抵の所に少なくとも一人は英語を話せる人がいた。ただそれも割合的に決して大きなものではない。日本人と違うところは、スペイン人は英語を話せなくても全く物怖じしないことだ。これはバルセロナ、セビーリャ、マドリードと変わらなかった。
アメリカ人と思しき観光客が英語が通じなくて立ち往生しているという場面に何度か遭遇した。そうした場面でもスペイン人は堂々とした態度を崩さない。アメリカ旅行中に早口の英語に悩まされた身としては、言葉は悪いが「ざまあ見ろ」と溜飲を下げたくなる(苦笑)。
さて、スペイン旅行の折り返し点を過ぎると、ワンフレーズ的にスペイン語を話せるようになった。最初は単語を並べるだけだったが、徐々に一応まともなセリフになってきた(そうすると早口のスペイン語が返ってきて、全く分からないという羽目になる・・)。
「やあ!」という簡単な挨拶は
「オラ(Hola)!」
である。これは覚えやすく、日本でも割と有名だろう。もう少しちゃんと「こんにちは」なら、
「ブエノス・ディアス(Buenos dias)」
である(「おはよう」の意味も含む)。「ありがとう」は「グラシアス(Gracias)」であり、使う機会は多い(くだけた言い方で「グラッセ」とも言うらしい)。
便利なフレーズに
「ポル・ファボール(Por favor)」
がある。英語の「please」に当る。「お願いします」にも「どうぞ」にも使えるのである。特にメニューや勘定を頼む時に必須のフレーズだ。
「エル・メヌ、ポルファボール(メニューお願いします)」
「ラ・クエンタ、ポルファボール(お勘定お願いします)」
「単語+ポルファボール」で、完璧に依頼文になる。
ほかに「ドンデ(Donde=どこ)」「アキ(Aqui=ここ)」も覚えておくと便利だ。地理不案内の旅人にとっては、これを口にするだけで場所を確認できるというスグレモノ・フレーズである(←単なる方向音痴)。
また
「アイ(Hay)〜(〜はありますか)?」
も覚えておくといい。「アイ・メッサ・リブレ(空いてるテーブルありますか)?」はレストランで使える。物に限らずイベントの有無も聞ける。
ところで私はこれを使ってバルの店主にレアル・マドリードとバルサの試合(クラシコ)は明日あるのかと聞いてしまった。ニュースでやたら両チームの練習風景を映していたからだ。
「アイ・クラシコ、マニャーナ」 すると、機関銃の如くスペイン語が返ってくることになる。「×××、マニョール」。分かったのは試合が明日ではないこと(5月開催と後に知る)。文末の「マニョール」は聞き取れたが、その意味が何か未だ不明だ。 |
言い忘れたが、「はい、いいえ」は「シー(Si)、ノー(No)」で覚えやすい。「ノー」は動詞の前に付ければ否定文になる。「いや、結構です」は「ノー・グラシアス」で英語の「No
thank you」と同じ要領。AVEの機内サービスを断わる時に使った。
あと「これは何ですか?」は既に出てきた「ケ・エス・エスト」。「ケ(何)」だけでもいい。物の名前を聞くのに必須だ。
他に必須なのは数字を覚えることだが、これは難しい。1は「ウノ(uno)」、2は「ドス(dos)」、3が「トレス(tres)」まではいいが、以降はなかなか覚えきれない。8が「オチョ(ocho)」というのは語感の面白さのせいか覚えられた。
ところで「ウノ(1)」は比較的知られているのではないだろうか。元プロ野球選手の宇野勝(元中日)やタレントの神田うのが
「‘ウノ’はスペイン語で‘1’を意味するから、自分はこの分野で一番になる」
と言ったという話が伝えられている。カードゲームの「ウノ」の語源はもちろんこれだ。
(続く)
マドリード中心部のグランビア(大通り)。 |
16世紀の面影を残すマヨール広場。 |
スペイン語の話をしよう(前編)
サンティアゴ・ベルナベウのグラウンド。 |