一日過ごしてスペインと日本の基本的な違いがいろいろ目に付いた。そこで項目別に挙げることで比較検討を試みる。ただし記述は全期間にまたがっている。
@電車のアナウンス
「次の駅をアナウンスしてくれる親切な電車は日本だけ」という話がある。事実、イタリアに旅行した先輩は「車内アナウンスが全く無かった」と言っていた。私はスペインも多分そうだろうと覚悟していた。
ところが、少なくともバルセロナの地下鉄は全ての路線で次の駅をアナウンスしていた。ただし発車時に限られるが。面白いのはアナウンスを男声と女声に分けていることである。
男声「プロキシモ・エスタシオ」(次の駅は)
女声「サンツ」(サンツ駅)
駅名が女声でアナウンスされると覚えておけば安心だ。このアナウンスのスペイン語も聞き慣れれば理解できる。
統一されてないのはマドリードの地下鉄である。アナウンスする路線としない路線の割合が半々だった。原則として新しい路線はアナウンスすると考えられる(スペインの地下鉄の路線は番号が付いているので、新しいほど番号が大きくなる)。アナウンスしてくれない路線だとイライラして焦ることは必至である。
なお、AVE(新幹線)はアナウンスしてくれるが、ローカル線はほぼアナウンスしないということで間違いない。
A改札
わけが分からないのは駅の改札である。日本だと右側の改札機に切符を入れるものと決まっている。ところが、スペインでは所によって右だったり左だったりするので、大混乱である。一応「→」という印が表示されているが、外国人にはなんで統一しないのか意味不明である。
でもって逆の方向に切符を入れてしまえばエライことになるのである。トホホ・・。
B喫茶店
カフェテリアは至る所にある。その大半が家族経営の店らしく、日本のようにチェーンの系列店というのは少ない。メニューはコーヒーが大半だが、ソフトドリンクも頼める。ただし紅茶を置いていることは少ない。「バル」と呼ばれる居酒屋、兼軽食屋もカフェの機能を持っている。
注意しなければならないのは、デパート内部でカフェがないことである。マドリードの三越で休憩しようとカフェを探したが、日本人の店員によれば「カフェは全く無い」ということだった。通りにいくらでもカフェがあるので必要ないのかもしれないが、まあ日本的常識からすればビックリである。
カフェについて付け加えると、野外のカフェテリアが多いのが特徴的だ。確かに燦燦とした太陽の下でコーヒーを飲みながらくつろぐのは至福だと思う。
「日本にもこういう所があればいいのに」と言いたくもなるが、しかし野外カフェはヨーロッパ、とりわけ地中海地方ならではであろう。はっきり言って、雨の多い日本の気候では、野外に椅子とテーブルを置くのは高コストだし、あまりにもリスキーだ。
やはり野外カフェは外国の雰囲気を感じさせるというのがいいのだろう。
C飲み物
カフェに関連して、飲み物のことを説明する。一番大きな違いは「アイスコーヒー」なる代物はないことである。カフェテリアでは「コーヒー」と言えば熱い物と決まっている。もちろんスターバックスではアイスコーヒーを出してくれるが、明らかに「熱いコーヒーに氷を入れたばかり」というものだった。大体スタバ自体少ない。基本的にスペイン人(全ヨーロッパかも)にはコーヒーを冷やすという発想が無い。
冷たい飲み物はコーラかサイダー、フルーツドリンク、ないし水(アクア・シンガス)ということになる。当然ながら冷たい緑茶というものは存在しない。
付け加えるなら、自動販売機はあるが少ない。ということで売店で飲み物を買うことになる。
D食事時間
レストランが夜は「8時」(店によっては8時半) 開始というのは困りもので、他のヨーロッパ人も不便を感じているらしい。
「スペイン人は5回食事を摂る」と言われているが、これは日本人が3回に分けている食事を5回に分けていると考えればいい。しかし最後の夜の食事は当然遅い時間にずれ込む。
かつてスペイン人は「昼に家でご馳走を食べ、昼寝(シエスタ)をする」ということで有名だった。これは日差しが強いスペインの気候上そうせざるをえなかったということだが、EU統合によってシエスタの習慣はほとんど消滅した。スペイン人自身
「シエスタ? 古き良き時代の習慣ね(笑)今じゃアンダルシアの田舎にしか残ってないでしょう」
と言う。
ところが食事時間に関しては独自性がシッカリ残っている。昼の営業は1時から4時まで、夜は前述のように8時開始が大半だから、注意が必要だ。「行ってみると店が閉まっていた」なんてガッカリな経験も2,3ある。 ただバル(軽食屋)がその間も営業しているので、軽い食事でいいならそこで済ませればいい。
以上で挙げたもののほかにも色々目に付いたことはあったが、省略する。チップは必要ないとか、トイレで料金を請求されないとか、日本と同じことも多々あった。
まあ、浴槽(風呂)がなく、シャワーだけというホテルがあったのはヨーロッパならでは、と思ったが。
そんなこんなで旅はまだまだ続く。
スペインあらかると
バルセロナの街並み。パリを模した整然かつ軽やかな美しさを感じさせる。 |