再編が続く中で賑わいを取り戻しつつある岐阜市中心街。名鉄岐阜駅付近の光景。 |
「〜で、もんで」(〜から;理由) 〔中〕 〔〜から〕とも
・明日、仕事があるで、飲みに行けんのやてー。
・天気が悪くなりそうやで、中止にするんやって。
・俺がやったるで、心配しんでいいよ。
・雪が降ってきたもんで、早めに帰ってきたんやて。
・余裕ないもんで、断ってまったんやて。
名古屋弁と同じく、理由の意味の接続詞は「〜で、もんで」である。若い世代も使う。ただし「〜から」に置き換える場合もままあるらしい。
「でれ」(とても、非常に) 〔中〕 〔ノーマル;すごい、むっちゃ〕
・一日中立ちっ放しやったで、足がでれ痛てえげ。
・あんなに怒るとは思わんかったな。でれ怖かったやろ。
・昨日、地震が来たで、でれビックリしたわ。
「とても、すごく」を岐阜弁ではこう言う。元は「どえらい」で、「どえれやあ、どえれえ〜」とも言っていたが、若者では「でれ〜」に変化した。名古屋のように「でら、どら」を使うことは無い。ただし「でれ」はやはり感情が高まった時に使う言葉で、普通は「すごい、むっちゃ」と言うらしい。
鵜飼屋公園の「川灯台」。岐阜城から橋を渡ったところにある。 |
「〜やんね」(〜よね)
・早く終わらさんといかんやんねー。
・あの後、二次会に行くって言っとったやんねー。ホントに行ったの?
・そんな話、聞いとらんかったやんねー。
・だよね!そんなの急に言われても、どう言ったらいいか分からんやんね。
相手に相づちを求める場合の語尾。岐阜の若い人の間でさかんに使われている。どっちかと言えば、女性が多く使うか。名古屋で使われる「〜じゃんね」と通じる部分が多いが、「〜じゃんね」のように(〜だよ)の意味で使われることはありえない!という。
美濃市にて。名鉄美濃駅跡では99年に廃線となった美濃町線の車両が展示されている。これと同型の車両が岐阜市内にも走っていた。 |
長良川河畔の光景。長良川国際会議場と長良川球場。岐阜城の対岸にある。 |
柳が瀬付近の交差点。ここを通っていた名鉄経営の路面電車は2005年3月を以って廃止となった。 |
2007年10月に誕生した”岐阜シティータワー43”。岐阜駅前はオフィスビル建設など再開発に取り組んでいる |
「〜やー」(〜なさい ;命令)
・もう夜中やで、寝やー。
・たぶん終電には間に合わんと思うよ。今日は泊まってきゃー。
・そんなの無理に決まっとるやん!やめやー。
・早いとこ、準備しやーよ。
岐阜弁でも柔らかい命令形は「〜やー」である。こう言うのは、かつて丁寧語を「しやーす」(しなさる)と言ったからだ。名古屋弁と同種の言葉である証拠の一つであろう。若い世代でも多く使われる。
「〜っけ」(〜しようよ ;誘い) 〔少〕
・一緒に祭り行こっけ!
・あさってサッカーやろうっけ!
誘いを表わす語尾。ただし小学生の男の子が多く使うという。女性が使うことは無いらしい。中年以上は名古屋などと同様に「〜まい」(行こまい、やろまい等)と言う。これは若い人は使わない。
「〜やろ、やろう」(〜よね、だろう、でしょう;確認、推量) 〔中〕 〔〜よね、やんね;多〕
・ケッタで行くつもりやろ。俺もそうするで、一緒に行こう。
・昨日はえらかったやろ。あたしは行けんかったで、悪かったね。
・あんた、家遠いって言っとったやろ。早く帰った方がいいんやないの?
・それやってあげたら、喜ぶやろうね。
・多分来週は行けんやろうと思うんやけど。また連絡するわ。
・だからダメやって言ったやろー!
岐阜の人が「関西人に間違えられる」大きな原因がこれ↑。もっとも関西人からすれば、東京式アクセントで「やろ」と言うので、違和感がある。『〜近世期方言の研究』によれば、江戸中期まで尾張と同じく「〜であらうず」だったが、京都からの影響で「〜じゃろ」、さらに大正から昭和にかけて「〜やろ」に変わった。関西に近い地政学的位置による。
なお岐阜市に関しては、特に若い女性は「〜よね、やんね」で言い換えていることが多い。なので、筆者が岐阜市で観察した時、一瞬「共通語化したのか」と早合点してしまった。この点については共通語化した名古屋の影響を受けていると言えるだろう。若い男性は親しい友達同士で「〜やろ」を使い、少し疎遠な間柄の人には「〜よね」、という具合に使い分けている ようだ。
なお余談だが、中年以上の人は一番下の例文で「えかっ!」を付けて念押しするらしいが、若い世代は使わないという。