目次   (4.1)何で大垣にこだわるか?   
         〜大垣との遭遇と疑問〜
 
       
大垣のことばは「岐阜弁」か?
(4)特別編
大垣駅前の光景。人口15万の岐阜県第2の都市。三重県や滋賀県との交通の便もよく、西美濃の拠点都市の一つである。
水の都 「関ヶ原」の裏舞台!
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(4.1)
何で大垣にこだわるか?

〜大垣との遭遇と疑問〜

それまで私にとって大垣などどうでもいいような存在だった。せいぜい岐阜県にあるんでしょ、程度の認識しかなかった。「関ヶ原の合戦時に西軍の本拠が置かれ、もう少しで「天下分け目の決戦」が大垣城で行なわれたかもしれない、なんて話にも「だからどうした!」としか思えなかった。それがどうも独自の価値を持つらしい気付いたのは、ある言語学雑誌の特集を見た時であった。
 
 

「変容する日本の方言」(月刊『言語』1995年11月号別冊)は、日本全国から14の代表地点を選び出してアンケート調査を行い、方言に対する意識方言と共通語の使い分け行動」から日本の方言の現状と未来を考察する、という特集だった。その14の代表地点の一つに、「大垣」が選ばれていたのである。この「代表地点」というのが、方言区画の上で要に位置すると思われる地域という観点から選ばれたと書かれているが、東海地方(中部地方西部)で代表とされたのが大垣だったのである。なんで大垣なのか、名古屋ではなく、岐阜市ですらなく、どうして大垣が?と言いたくなった。他の代表地点が大都市や地方の中心都市だったりする中で、大垣だけが、はっきり言って異色の存在だったのである


 他の13地点は、札幌弘前(青森県)、仙台千葉東京松本(長野県)、金沢京都広島高知福岡鹿児島那覇(沖縄県) である。

その特集での大垣のサブタイトルは「東西境界地帯の方言意識」である。それを読むと、どうも大垣という場所は、東と西、2つの影響力がぶつかり合い、それが独特の色合いをかもし出しているらしい、と思い至ったのである。 興味を持って色々調べてみると、大垣が、名古屋や岐阜市の衛星都市というわけでなく、独自の特徴を持つ街だ、という事実が見えてきたのである(まったくの余談だが、大垣は俳優の細川茂樹の出身地で、本人も色々なところで故郷をアピールしている)。
 そのあたりのことをこれから書いていこう。
水の都」と呼ばれた大垣。写真はその雰囲気を今に伝える「四季の広場
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(4.3)大垣の人は地元をどう思ってる?
    〜大垣人の自己認識〜

(4.2)大垣って、どういう所?
   〜大垣のゲオポリティーク(地政学)〜

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(4.4)結局、大垣のことばって?
     〜大垣ことばの実態〜
ソフトピア・ジャパン(大垣市)。IT産業の拠点として1998年に完成。情報産業都市を目指す大垣の未来像を描く。