掛川駅。新幹線の停車駅でありながら、このようにレトロな木造駅舎を新造した稀有なケースである。 磐田駅。ジュビロ磐田のマスコット像が出迎える。 佐久間ダム(浜松市・天竜区)。遠州北部にはこのような大規模なダムが建設され、水力発電によって日本経済を支えてきた。 浜名湖と舘山寺温泉。浜名湖は大きさもさることながら、風景の美しさも屈指のものである。 |
・次に県庁所在地である静岡市との関係について述べる。方言の違いについては とまとめられる。 もともと静岡市などの駿河地方からすると、遠州弁は荒っぽい印象があるらしい。また遠州の中枢都市の浜松は、静岡市より人口が多い(浜松80万人、静岡市70万人)。 ただ、もともと静岡市でも遠州と同じく「〜ずら」→「〜だら」を使っていたが、ここ30年の間に東京語化して使うことが少なくなった(もっとも消滅したわけではない、後述)。その面でも両者の違い意識は強化されているようだ。 サッカーでは近隣のライバル同士の対決を「ダービー・マッチ」と言って、ある種特別な試合として盛り上げるが、Jリーグの中で屈指と言われる清水エスパルス(駿河)とジュビロ磐田(遠州)の「静岡ダービー」の盛り上がりは方言の違いに起因する対抗意識の存在から説明できよう。 もっともこのような対抗意識は「静岡県」というまとまりを意識しているから、とも言える。同じ行政区域となったのは明治からでこの百数十年のことだが、さかのぼれば戦国期の今川氏が駿河・遠州を共に領国にしてから関係が深まったことも考えられる。 ・次に東三河との関係について述べる。 方言の違いについては6.2(1)Aでも述べたが、「共通点も多いが、違いも多い」ということである。 上に関連して地域間交流ではどうかと言えば、もともと遠州西部は東三河とローカルな地域交流があるし、「三遠南信地域交流」を推進する試みも続けられている(その一つの成果と言うべきが、プロバスケット、bjリーグの「浜松・東三河フェニックス」の結成である)。しかし東三河は近年名古屋都市圏に引き寄せられる傾向もある。以上のことから両地域の関係は とまとめられる。とは言え、遠州にとって、東西の東京と名古屋の大都市圏の間で埋没しないためには、東三河との関係は深めるべきと思われる。 ・次に名古屋との関係についてである。 これについては西部(浜松など)と東部(掛川など)ではっきり異なる。 西部では中日新聞が読まれており、浜松で中日ドラゴンズが主催試合を行うなど、名古屋とも交流が存在する。また名古屋に買い物やイベント参加することもある。進学・就職でも名古屋と東京の割合が「4対6ほど」という。この要因は、浜松−名古屋間の距離が浜松−東京間の半分だという距離的な面が関係している。 しかし東部では、ほとんど名古屋の影響はなく、進学・就職でも東京行きがほとんどだという。つまり となる。全体的に遠州は独自の地域圏を形成していると言えよう。 ・最後にこれと関係して「遠州、ならびに静岡県は東海地方に入るか?」という質問には ということだった。名古屋都市圏には若干接近しても、それとの微妙な距離感を抱く遠州の人々の意識がうかがえる。特にテレビなど放送局は静岡県のみが独自の圏域を形成し、名古屋の放送局がカバーする愛知・岐阜・三重とは一線を画している。この影響は大きいだろう。 |
・方言イメージ、地域意識 A近隣地域との関係